ニホンカモシカ:氷河期の生き残りの動物で「生きた化石」とよばれ、1955年に国の特別天然記念物に指定されました。また、長野県獣にもなっています。上小地方にも太郎山をはじめ、菅平、傍陽、西内、独鈷山などに生息します。 ツキヌキソウ:シベリアや日本では菅平高原にしか見られないツキヌキソウは、北方系の珍しい植物です。菅平高原の自生地は、県の天然記念物に指定されています。写真のように目立たぬ花をつけます。茎が葉を突き抜けているように見えるので名前がつきました。
ヤマネ:日本の特産種で一科一属一種の哺乳動物であり、1975年に国の天然記念物に指定されました。上小地方では、菅平高原で人家に入ってきたり、靴の中に入ってきて確認されています。角間谷では、私をウドの大木と思ったか?足元からズボンの中に入り、背中を走り回って、また、足元からでていきました。右は体を丸めて冬眠するヤマネです。写真:吉田保晴
上田市半過地区の岩鼻は、チョウゲンボウの繁殖地として、長野県の天然記念物に指定されていました。しかし、すぐ下を走る県道の交通量が増えたためか、岩鼻ではほとんど見られなくなりました。市街地のビルや郊外の建物で繁殖する個体もありますが、これからどうなっていくか見守っていく必要があります。写真:北澤善政 モイワナズナ半過の岩鼻には、モイワナズナがみられます。モイワナズナは北海道から樺太にかけて分布する寒い地方の植物で、名前は北海道の藻岩山からきています。本州では、上田市の岩鼻にしかない珍しい植物です。最近、岩鼻のモイワナズナの株数が減っていて、とても心配です。(天然記念物には指定されてませんが、希少植物です)。

天然記念物を取り消された動物
ハクビシン:日本では唯一のジャコウネコ科の動物です。海外から入ってきたものが分布を増やしてきた可能性があります。下伊那郡の一部にしか生息しない「珍獣」ということで1975年に県の天然記念物に指定されました。しかし、その後急激に分布を拡大し、果実への食害が増えたため、1995年に天然記念物の指定を解除されました。上小地方でも、真田町角間地区や上田市の塩田地区で確認されています。

上田小県地方で絶滅してしまった動物
モモンガ:ふつう,亜高山帯の自然の林にすんでいます。昭和50年(1975)に長野県の天然記念物に指定されました。上田市では,昭和50年(1975)に発行された「川辺の自然」に著者の坂下政人氏が、昭和22年(1947)頃,半過のスギ林で捕獲した記録が残されています。現在では見られません。 オオカミ:上田高校に保管されているニホンオオカミの頭骨は大変有名です。1882年頃烏帽子山麓で捕獲されたものだそうです。上田小県誌には「1900年頃オオカミが急激に減少し,1920年には絶滅している」とあります。上田地方は,日本でもニホンオオカミの最後の生息地であったのです。
上の写真は、東部町滋野地区の千曲川の河原に見られるアケボノゾウの足あとの化石です。このあたりではアケボノゾウの牙や骨の化石が何本も見つかっています。500万年ほど前には、このあたりでも象が住んでいたなんて不思議な気がします。骨のDNAでよみがえったら超天然記念物になるでしょう! ニホンカワウソも,また上田地方に最後まで生息していました。上田小県誌には「現在はカワウソもほとんど見られない」とあります。東部町奈良原地区での目撃記録と長門町大門地区での「水かきのあるイタチ」の記録がわずかに記されています。「川辺の自然」には,1940年頃まで,ニホンカワウソが半過地区に生息しており,その魚の取り方など聞いた話として紹介しています。半過地区の切り立った岩のある環境は,本州で最後までニホンカワウソが生息する環境を保っていたのでしょうか。このように上田市には,絶滅してしまった動物たちの話がいくつか残っています。たいへん誇れることだと思います。

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